経験者の声
これまでの大会で発表やモデレーター(座長)を経験された方のコメントを紹介します。最初は誰でも「初心者」。ぜひ表現者として,まとめ役として,MIS31でその一歩を踏み出してみませんか。
→QOL for MIS31(MIS31のためのQuality of Learning: 発表者・モデレーター・聴衆向け発表の場の質向上ガイド)もご用意しています。
経験者の声1:口頭発表
児玉 閲さん
【PDF】「同一主題内引用の評価」@MIS29築地大会
MISでは毎年みなさんの「発表」で学ばせてもらっています。ですから私の調査もみなさんに役立てばと,発表を続けています。発表の形式ですが,大勢に聞いてもらいたいときには口頭で,身近で反応を確認したいときはポスターを選んでいます。いずれの場合も,自分が伝えたいことを明確にし,受け止める側が理解しやすいように構成を考えています。また口頭発表では時間配分を考えないと後半が詰まり,結論があやふやになってしまいますから,発表を時間内に収めることを第一に心がけています。
今の医学図書館員に必要なスキルに,Research & Writingがあります。日常業務での気付きや自分の考えを元に調査研究を行い,論文にすることです。また,考えをいきなり論文にするのではなく,先に研究会などで発表しておくと,調査方法や結果の妥当性などを確認することができます。
MISはインフォーマルな研究会であり,モチベーションの高い人が自発的に集まるため,発表に対してよいアドバイスがもらえますし,自然と仲間も増えていきます。
初めての発表は,1993年の生物医学図書館員研究会でした。緊張をして,周りを見る余裕などまったくなく,用意した原稿をただ読むことしかできませんでした。でも,発表での失敗など怖れることはありません。それ以上に大切なものをきっと手にすることができるからです。「Learning from each other! 」参加することで互いに学び合う。ぜひ発表を実践し,知識や仲間を増やしていただきたいと思います。
経験者の声2:ポスター発表
大瀬戸 貴己さん
【PDF】「電子ジャーナルバックファイル購入による書架スペース確保の事例」@MIS27いわき大会
人前での発表はおろか,名刺交換もままならなかったド新人の自分が初めてのMISを存分に楽しめたのはポスター発表のお陰です。発表者になると,交流できる人の幅がぐんと広くなり,ただ参加するよりずっと充実感を味わうことができます。また,大勢の人の前での口頭発表より,目の前の人と会話しながらのポスター発表は,発表初心者にもチャレンジしやすい形式です。発表の機会を得たい人はもちろん,MISをもっと楽しみたい,いろんな人と交流したいと思っている方におすすめします。
望月 雅子さん
【PDF】「自治体病院統合による図書室業務の現状と課題」@MIS29築地大会
MIS29で,5回目のポスター発表を行いました。研究発表自体は,共同発表を除いても10回以上行ってきました。MISは敷居の高くない,経験年数に限らず参加者に優しい大会です。
このポスターを発表した当時は一人職場でしたから,身近に相談する人やアドバイスを受けられない中,見てくださる方に伝えたい事が伝わっているのかなどと悩みつつ進めました。またポスターという特性上,資料の作成では内容を決められた大きさでデザイン化する難しさがあります。でも,字の大きさや配色,図などのレイアウトを考えるのが楽しかったことも事実です。
聴衆にとっても,ポスターは掲示時間が長く,興味のある内容をじっくりと読むことができますし,ポスターを見ながらその場で発表者に直接質問することができます。発表者と聴衆が同じ目線で時間を共有し,話せることはすばらしいことです。
ポスター作成のための参考資料
城山 泰彦さん
ポスター発表の達人である城山泰彦さんよりご紹介,特に上の2冊がおすすめとのことです。
- 今泉美佳.ポスター発表はチャンスの宝庫:一歩進んだ発表のための計画・準備から当日のプレゼンまで.東京:羊土社,2003.
- 徳田耕一ほか訳.科学者のためのポスターセッションガイド.東京:丸善出版,2001.
- 宮野 公樹.学生・研究者のための伝わる!学会ポスターのデザイン術:ポスター発表を成功に導くプレゼン術.京都:化学同人,2011.
- 堀口安彦.発表が楽しくなる!研究者の劇的プレゼン術:見てくれスライド論&よってらっしゃいポスター論と聴衆の心をつかむ講演技術.東京:羊土社,2013.
【PDF】「電子ブック購読タイトル可視化の検討-国内医歯学系図書館の現状と,本学医学部学生用の指定教科書等リストの事例から-」@MIS30沖縄大会
経験者の声3:モデレーター
小野寺 夏生さん
第1会場「情報の分析と活用」セッション担当@MIS29築地大会 タイムキーパーは松村悠子さん
モデレーターをする際,第一に心がけていることは,なるべく出しゃばらないようにしながらも会場からの質疑を活発にするということです。ですから質問が出るときはほとんど何もせず,錯綜したときに討論の方向を調整するくらいでしょうか。実際にそのような事態になったことはあまりありません。
問題はなかなか質問が出ないときですが,その時はまずモデレーターから質問をします。質問はあらかじめ予稿に目を通して考えておきますが,当日聴きながら変えることもあります。ただし,モデレーターからいくつも質問することはできるだけ避け,ひとつ質問した後は,「これに関して他に」「別のことで」「○○のようなことが考えられますが」など,会場から質問を引き出すようにしています。
モデレーターをすると,自分とは関係の薄いテーマの発表でも,きちんと予稿を読み,発表を聴くことで,新しいことを知り,発表者と近づきになることができます。ぜひはじめの部分で申し上げたことに配慮しながら臨んでいただければと思います。