ホームmMIS>コラム 旧いもの、新しいもの


わが町には、昔懐かしい路面電車が走っている。市内電車、通称"市電"である。市内の中心を、車より少しゆっくりめの早さで走る。

この市電、ラッピングバスならぬラッピング電車である。地元企業が中心にスポンサーとなり、それぞれに趣向を凝らした模様を付けている。私のお気に入りは、色とりどりの魚が躍っている"ヤマサちくわ"の車両である。
季節によっても装いが変わる。祭りの時期になると、花飾りを付けた花電車が走る。キラキラの電飾を付けたりもする。夏には納涼生ビール電車が走る。沿線に住む人以外はあまり乗る機会はないのだが、ふと目にするだけで「ああ、そんな季節か」と感じる。

沿線の道路では、ところどころで黄色の矢印信号が出る。自動車学校で習ったことを覚えているだろうか。これは路面電車専用の信号なので、つられて進むと交通違反になってしまう。また、右折待ちなどでうっかり軌道に寄りすぎると、電車に「プワァー」と警笛を鳴らされ、乗客にジロジロと見られる。これはとても恥ずかしい。

数年前、駅前にあった電停を駅構内に引き込む工事が行われた。ほんの150メートルのことだが、路面電車の廃止が相次ぐ中、線路が延びるというのは画期的なことだったらしい。全国各地から路面電車ファンが集い、盛大なイベントが開かれた。
3月末、万博開幕の6日後に、この市電に新しい駅が誕生する。万博のスケールとは比べ物にならない、愛知の片隅での小さなニュースである。しかし、そんなことはお構いなしに人々は喜び、年代物の電車は今日も元気に、車と抜きつ抜かれつしながら走っている。

微笑ましくもあり、ちょっぴり誇らしくもある、わが町の風景である。


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